ポルトガルのニット

大分秋冬物も揃ってきました、、

20年間続けていたペルーのセーターを止めてニットをポルトガル一本にしたのはやはり糸の違いです。

ポルトガルのウール糸は十分に油分が残っているのでちょっと匂います、、ウール特有の匂いですが、これがペルーの糸からなくなってしまったのです。

油分が残っているのは工業的な洗いや精錬をしていない為で以前はペルーの糸にも十分に残ってました。

日本の人にはこの匂いが苦手な方もいますしちょっと粗野な感じもします。何より編むのが大変なんです。

手編みですと糸がずっと指先をこすっていきます。 これを何日も続けているとこの油分に皮膚が負けてしまう人が多いので慣れてない若い人は嫌がります。

工業的に精錬 洗いを施した方が柔らかく匂いもなく誰にでも受け入れてもらえるので国が発展してくると多くが匂いのない柔らかいウールにに変えてしまうのです。

  しかしこの油分がウールの特性です。

これをなくして以前書いたような着ていくうちにフェルト化し防水機能を得られるような本当の漁師ニットにはなりません。

’フィッシャーマンセーター’ でなくなってしまうのです。

もう一つ重要なのが油分の十分残っているウール糸は張りが強いのです、、

ちょっと硬いと感じるかもしれませんが張りがあると着た時に感じる重さが全く違います。

持った時と違うものに感じるくらい着た時に軽いんです。

そんなセーターを今回もポルトガルの北部の漁師町のおばさんに編んできてもらいました。

 ローマ時代の水道橋

こんな景色が溶け込んでる街にその人たちはいます

各家族に一つの柄があります、ですから一人の女性が編める柄は大概一つ、母から娘に受け継がれる家紋の様なものです。

このような伝統が残っている漁師町は世界中でどんどん減ってます、、そんなフィッシャーマンセーター。

 

タイで作ったサルエルパンツとも相性ばっちりです。

しかし今編んでくれているおばさんたちの子供たちは殆ど編めません、、

そう、、たぶん最後の世代に入ってきています、5年前にこの町に30人居たおばさんたち現在は13人になりました、

貴重な伝統と文化ですが無くなっていくものも多くあります。